運動と栄養のどちらが骨強度に大きな影響を与えるか、考えたことがありますか?2018年にミシガン大学の研究者が意外な答えを発表しました。
研究内容の概要
ミシガン大学の研究者たちはマウスを用いて、ミネラル補給と運動の効果を調べました。その結果、骨量と骨強度の増強には、運動よりも栄養の方が重要な役割を果たすことがわかりました。さらに興味深いのは、ミネラルを補給した食事の効果が、運動をやめた後も続いたことです。マウスがミネラルの豊富な食事を摂り続ける限り、骨は強いままだったのです。
主な研究結果
1. ミネラル補給食の長期的利点
ミネラルを豊富に含む食事は、骨量と骨強度を増加させるだけでなく、長期にわたってその増加を維持するのに役立つことが示されました。ミシガン大学のDavid Kohn教授は、この研究はマウスを使ったものであるが、人間への示唆は明らかである、と説明しています。栄養価の高い食事を維持することは、運動だけに頼るよりも、長期的には、特に年齢を重ねるにつれて、より持続可能であります。
2. 食事だけでも効果はある
意外なことに、研究者らは、運動なしでもミネラル補給の食事だけで骨強度にプラスの効果があることを発見しました。Kohn教授は当初、運動と通常の食事を組み合わせた方が良い結果が得られると考えていたので、これは予想外でした。
3. 食事と運動の組み合わせ
食事療法だけでも有意な効果を示しましたが、運動療法を併用すると、骨強度に対するプラス効果が増幅されました。
この研究は他の研究と何が違うのか?
ほとんどの研究は食事から摂取するカルシウムの増加に焦点を当てていますが、ミシガン大学の研究ではカルシウムとリンの両方に注目しました。この2つのミネラルを組み合わせることで、骨強度に大きな効果が見られました。
実践的意義
Kohn教授は、これらの知見に基づいて、カルシウムとリンのサプリメントを急いで購入しないよう注意を促しています。この研究は貴重な洞察を支持していますが、マウスの結果をヒトに反映させるにはさらなる研究が必要です。しかし、この研究は骨の健康維持におけるバランスのとれた食事の重要性を強調しています。
骨量のピーク達成
人間の骨量は通常20代前半でピークに達し、その後は徐々に減少していきます。目標は、若いうちに骨量を最大にすることで、年齢を重ねたときに、より強いベースラインからスタートできるようにすることです。
包括的な検査
本研究の研究者らは、骨量と骨強度だけでなく、骨組織の質を保証するために詳細な力学的評価も行いました。8週間のトレーニングと補助食の後にマウスをテストし、その後8週間トレーニングなしで再びテストしました。
結論
PLOS One誌に掲載されたこの研究は、定期的な運動がなくても、ミネラルを豊富に含む食事を長期的に摂取することで、骨の強度を維持できる可能性を示唆しています。この発見は、骨の健康において食事がいかに重要な役割を果たしうるかを研究するための新たな道を開くものであり、加齢に伴う骨量減少を予防するためのより良い戦略につながる可能性があります。
参考文献:
Friedman MA, Szczepankiewicz RP, Kohn DH. Combined mineral-supplemented diet and exercise increases bone mass and strength after eight weeks and maintains increases after eight weeks detraining in adult mice. PLoS One. 2018 Sep 21;13(9):e0204470. doi: 10.1371/journal.pone.0204470. PMID: 30240447; PMCID: PMC6150513.
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